保護カバーをどうにか作ってみる

レーザーカッター

保護ケースとは

レーザーカッターは通常であればがっちりした筐体に収まっていることが多い。これはレーザーが反射したときや火が出たなどの事故を防ぐ意味があるのだと思われる。また、排煙の事を考えても風の流れを作りやすい。しかし、一般家庭で使うときには非常に邪魔である。

LX1Maxの保護ケース

このLX1 Maxにも純正の保護ケースが用意されている。本体サイズを考えると仕方ないのだが、幅1040mm、奥行き632mmと非常に大きい上に、割引がなければ8万円強という価格だ。おそらくちゃんと密閉されるのだろうし、見ての通りレーザー光を防ぎそうな色をしている。微妙な大きさのダクト穴らきしものも見える。しかし、わたしがLX1を予約したときは、これがどのようにコンパクトになるのかの情報は一切なかったので、買わないことにした。一度組み立てたらばらすのが大変な仕様だったらLX1を買った意味がないからだ。

だからといってケース、もしくはカバーがなければ素材から発せられる煙は部屋中に散らばりやすい。なので、対策のために自作することにした。

材料の選別

検索をすれば色んな作例が見られることと思う。それらを参考にしつつ、なにで作るのかを考えなければならない。LX1が高かったので、これにはあまりお金を掛けたくないという事情もある。

主素材

MDF

MDFとは木材を細かく粉砕して固めたものだ。普通の木材より加工しやすいので、DIYで多用されている。弱点としては水に弱いことと、1メートルほどの長さになると、厚みにもよるがそれなりに重いことか。

木材

説明の必要はない。これは切るのも仕上げるのも割と面倒で、外注すると高いので却下。

アクリル

純正ケースもこれでできていると思う。ある程度の長さになると自重でたわんだあげく割れるので、板の厚さを増すかなんらかのサポートが必要。そうなると値段は爆上がりする。最初はこれで作る予定だったけど加工費も含めると予想より高くなったので、一旦保留。

中空ポリカ

二重窓でおなじみの中空ポリカ。軽く強度があり、しかも安い。アクリルほどではないがレーザーカッター使用中に中も見られる。加工もカッターでOK。もし割れても精神的にもお財布的にも優しい。これで決定である。

こういう板材は1820x910mmというものが多いのだけど、ざっくりとした計算では微妙に足りなかったので、検索したところ2100x910mmの中空ポリカがあった。このサイズは近くのホームセンターにはなかったのでありがたい。送料込みで(購入時は)3600円ほどなので、アクリルよりはるかに安かった。

副素材

今回作るのはケースではなくカバー。6面すべて作らないで底を除いた5面だ。しかも必要ないときには簡単に解体したい。この仕様なので密閉性は諦めることにする。手軽に組み立てて収納できることを目指す。密閉できない隙間は吸気口ということにしておこう。

購入予定の中空ポリカは厚さ4mmなので自立はしない。しかも木材のように切り口を接着したりねじを使ったりはできない素材だ。なので細い角材にポリカをくっつける方法を考える。

さっき二重窓でおなじみと書いたが、中空ポリカ用の樹脂フレームとレールというものが存在する。そのレールを角材に貼り付け、フレームをつけたポリカを滑り込ませればいけるのではないか、と考えながらAmazonと楽天を検索していたところ、もっとお手軽な商品を見つけた。

溝付き角材

なんと4mmの溝が掘ってある角材があったのだ。これに直接ポリカを接着すればフレームなどを切る手間もないので、これを送料無料になるまで8本買っておく。

次はレーザー光対策だ。保護メガネがあるので必要ない気もするが、加工中にずっと視界が黄色いのは考え物だろう。小物ならいいが、そうでない場合はちょっと離席することもあるはず。ということで検索検索。すると、monotaroにレーザー用遮光フィルターがあった。20W,2W両方の波長に対応しているものだけど、値段を見てそっ閉じだ。もう保護メガネで過ごそうと諦めかけた時に「溶接遮光フェンス」というものが目についた。「強い紫外線・可視光線を遮断」と書いてある。monotaroにはこのフェンスに張り付けるシートだけ売っていて、価格もぐっと下がる。だが、スペックが分からない。そんなものに1万は出せないので、さらに検索。

どうやら分類的には「ウェルディングカーテン」というらしい。溶接用の保護カーテンだ。検索トップに出てきた「アキレスウェルディングカーテン」のページには詳細なスペックも掲載してある。このページ内の「全分光光線透過率グラフ」によると450nmはばっちり対応できそうだ。色は3色あるが可視光を遮断され過ぎては中空ポリカを選んだ意味もないので、ある程度光を通して、中が確認できそうな黄色でいいだろう。なんとこの製品は楽天で切り売りしているお店があった。しかも安い。ありがたや。1064nmについては保護メガネで過ごすことにしよう。

さて、次はポリカに張り付けた角材同士を固定する方法である。固定といってもがっつりとしたものではなく、なんとなく外れなければいいな、くらいの物がいい。組み立て解体が面倒であってはこの保護カバーを使う機会が減るだろうし、簡単・安いが今回のサブテーマでもあるからだ。ということでさくっと検索。もうこの頃になると思考力は低下している。

Amazonで買ったロック

購入したのは10セットで1200円ほどの金具。もはや値段しか見ていない疑惑すらある選択である。ついでに排気ダクト関係の物も買っておく。

これで材料は揃ったので他に必要なものはカッターとのこぎり、接着剤くらいだ。組み立てに備えよう。

接着剤に関しては、ポリカと木なので難しいかと思ったが、試した3種(タイトボンド、ゴリラグルー、バスボンド)とも問題なかったので、バスボンドにした。扱いが簡単だし外そうと思えば外せるので、このカバーが気に入らなくなったら仕様変更もできる。

組み立て

いよいよ材料の切り出しと組み立てだ。刃物を扱うのでケガに注意しなければならない。

このカバーの高さは350mmなので、溝付き角材を350mmの長さで8本切り出しておく。この時点でうんざりしてはいけない。テーブルソーがある人は楽でいいな。貸してくれ。

そういえば加工・組み立て工程の写真はあまりない。作業に熱中して忘れていた。

切り出した角材に10セットで1200円の金具を取り付けていく。位置は下図の赤線の面だ。金具本来の取り付け方向とは異なるので注意。金具1組につきねじ4本x8組なので、ここでもうんざりしそうだ。

設計図

中空ポリカを切っていく。天面は900x650mm、側面は長い面が900x350mmx2枚、短い面が650x350mmx2枚だ。長めの定規を使いながら、中空構造なので潰さないようにする。切り出したらお好みの接着剤でポリカと角材を接着。

天面にはぐるっと一周角材を接着する。板の中心にダクトに合う穴をあけて、フランジを取り付ける。面倒なのでタイラップで止めておいた。あとで接着する必要があるかもしれない。

余った角材は短いほうの側面上部に接着した。吸気のための隙間はないよりあったほうがいいが、なるべく減らしたいのでこのようにしておいた。

接着剤が乾いたら天面と前面、左側面の内側にウェルディングカーテンを貼る。接着剤の選択などは面倒なので目に付いた両面テープで貼った。誰かに納品するものでもないのでテキトーである。問題があれば後で対処だ。

カバー完成

余り物のL字金具が3個あったので思い付きで短いほうの側面を抱え込む形で天面に取り付けた。これで前面のパネルを外しても天面が落下してこないので、換気が必要なほかの作業にも使えるようになったし、横方向のぐらつきを多少抑え込める。後はLX1を置いてみてケーブル用の穴を開ける。

実際にLX1で使うときは背面と側面二つを組み立ててからLX1を配置、前面を取り付けてから天面を置くことになる。また、排気は上排気の方が良いと思うけど、いろんな取り回しを考えると横のほうが楽かもしれない。このあたりは使いながら考えていこう。

さて、これでダクトファンを取り付ければ排気ができる環境が整った。残るは匂い対策だろう。どうにかなるのかなぁ。

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