ミスト式で臭いは消えたのか
結果としては今回は失敗だった。この消臭器を作ってから、いくつかの彫刻を試したのだが、MDFの彫刻くらいならいくらか消臭できたが、大敵である革に対しては無意味だった。保護カバーに隙間があるのかと思ったが、この消臭器から出てくる排気が臭かったため、今回は失敗と結論付けた。なぜだめだったのか、改善できるのかを探っていきたい。
何がダメだったのか
今回使用するミストノズルは前回書いたように、ずいぶん前にエアロポニック用に買ったものだ。当時はあまり多くの選択肢はなく、海外の作例を見ても同じようなノズルだったので買った記憶がある。エアロポニック用としては問題はなかった。
しかし、今回は根っこが濡れればいいというものではなく、吸い込んだ排気全体をミストで捕まえないといけないので、タンクの中を細かいミストで充満させるくらいの気持ちが必要だ。
今回使ったノズルを見てみると、まず出口の穴が大きいのが分かると思う。ここから勢いよく出てきた水が上部の円錐にぶつかって水が拡散する。穴が大きいのである程度の水流が作れる水中ポンプでもシャワー状に水が出てきてたのだろう。これは水圧がかかるポンプでも同じことで、飽くまで「拡散」だ。もう今となってはミストノズルとして売っていたのかどうかも思い出せないが、これでは望むようなミストは得られない。
実はこの消臭器の企画段階で、いくつかのミストノズルと超音波ミストメーカーを検討していた。超音波の方は水位調節の面倒さとミストの量的に無理だろうと判断した。ノズルはというと、仕様を公開してあるものをいくつか見たのだが、耐水圧の関係で諦めた。で、物は試しということで、手持ちのノズルでやってみたらダメだったというわけだ。
ちゃんとしたミストノズルを複数使用すれば水圧の事も解決するかもしれないが、これは失敗すると部屋が水浸しになる可能性もあるし、タンク内のスペースの問題もある。また、なんにしても数を増やせばコストも上がる。そう思うとなかなか難しいなぁと。
この先、なにかしらの対策を考えるとしても基本的な構造は変わらないので、今回の失敗作の作成手順をダラダラと書いていく。やる気低下中だ。
消臭器(失敗)の組み立て
今回はタンク内の水を循環させてノズルからミストを出す方式だ。ノズルが詰まる可能性もあるが外部供給はかなりめんどうなことになりそうなのでこうなった。
ポンプの消音と出力調整
前回書いた通りにミストノズルを使用するため、ダイヤフラムポンプを購入した。また、どう考えても出力が大きすぎるのでモーター用の調整モジュールも購入。ポンプは36Wのものが良かったのだけれど、レビューがあんまりだったのでこれにした。
これも気になるレビューがチラホラあるが使ってみるしかない。あとはホースや異径ジョイントなども購入。ポンプを木箱に入れたかったのでカット販売してくれる店で木の板を買い、気休めにはなるかと遮音シートも買った。出費がかさむ。
箱を作って遮音シートを貼り、ポンプ以外の隙間は余っていた吸音材を敷き詰める。
ホースと電源コード用の穴以外はなにもしていない、板同士を木工ボンドで貼りつけただけ。問題が出たらネジの使用も考えよう。この上にいつ買ったか覚えていない防振マットと吸音材を置いて蓋をする。蓋のロックは保護カバーを作った時の10セットで1200円のあれだ。2セット使えば10セットすべて使い切ることになる。
その辺に転がっていたプラケースに調整モジュールを入れて、箱の背面にモジュールごとネジ止め。テキトー極まりない様に見えるだろうが、先が長いので些末な事にこだわるつもりはない。
これでこの工程は終了。ポンプに通電して出力調整できるか確認する。稼働音的に可変抵抗は半分くらいのところで使いたい。ミストノズルの噴霧量次第だろう。
ミストセパレーターもどきを作る
今回の難題はこれだろう。前回見つけたステンレスのソフトネットと厚さ5ミリのゴム板でどうにかしようと考えている。
まずは、150㎜のスパイラルニップルを使う予定なので、これの真ん中の溝に合うようにゴム板を輪っかに切り、4か所に穴を開けておく。
切ったらはめ込んでみる。スパイラルニップルが歪んでいるのでめんどくさい。次はこの輪っかにソフトネットを固定する。
ソフトネット2枚を15㎝角になるように折り畳んで、ひとつを45度回転させて重ねる。ソフトネット同士がずれないように真ん中をタイラップで固定。隅の4か所はさっきゴム板に開けた穴に通して、ゴム板から外れないようにする。
先ほどのようにゴム板の部分をスパイラルニップルの溝にはめれば完成。裏から見て隙間がなければいいと思う。気になるならゴムとソフトネット、スパイラルニップルの境目を接着してもいいだろう。
本当なら15㎝角のネットを複数枚作って、一枚ずつずらしながらやるべきなのかもしれないが、切ると屑が大量に出て面倒なのでこの形になった。また、この作業の際はステンレスが刺さらないようになんらかの手袋必須。
ポンプとタンクの接続
ポンプの給排水口は内径8㎜のホースがフィットするのでまずはそれを取り付ける。それをそのままタンク内に伸ばしてしまってはメンテナンスが大変なので、余っていたアクアリウム用のダブルタップを使うことにした。いろんなところで余り物の有効活用だ。
そのためにまずは8/10mmホースを12/16mmへと変換する異径ジョイントをつなげる。12/16mmのホースはアクアリウム用なので高圧ホースではないが、ポンプからの水を止めることはしないし、もし圧力がかかったらホースが破裂する前にジョイント部分から水が噴き出すだろう。その後12/16mmにダブルタップを取り付ける。
吸水側にはゴミを吸わないようにストレーナーを取り付けた。排水側はエルボをつけて、その先のホースに水中ポンプのパーツを無理やり取り付ける。これらも余り物。ホースはしばらく熱湯に浸けておけば柔らかくなるので割りと無理がきくようになる。巻き癖もこの方法でとれる。その先端にミストノズルが付いた塩ビ管をねじこむ。
ねじこむと言ったが本当にねじこんであるだけ。穴が大きいノズルだからできることで、まともなミストノズルだと、おそらく水圧で飛んでいくだろう。
プラスチックペールにスパイラルニップルと呼び径100の塩ビ管、給排水用のホースが入る穴を開ける。塩ビ管の方はソケットで塩ビ管二つを繋げてある。こうするとペール缶の中に落ちていくのを防げるのだが、きっちりと穴を開けていれば不要かもしれない。また、ペール缶の蓋には段差がないもののほうが良さそうだ。段差があると微妙な隙間につながる。
給排水のホースにポンプの振動が伝わってうるさかったため吸音材でクッションにしているが、見た目が悪いので他の方法があれば変更したい。後は塩ビ管が水没しない程度の水を入れてポンプにつなげれば完成。
ファンの接続位置
ダクトファンでもターボファンでもなんでも良いのだけど、吸気側(塩ビ側)か排気側(スパイラルニップル側)のどちらに接続するか悩ましい。理想は排気側だろう。こちらに繋げることでMDFなどの煤の付着を防げるのでファンの寿命も延びるし、出口にはなにもないので圧力の損失もない。
吸気側のメリットはそれなりの勢いで水面に空気を送れるところか。水式空気清浄機のことを考えるとこちらがいいのだろうか。ただ、スパイラルニップル側がなんらかの原因で詰まれば、最悪の場合、風が吹き返してくる。
この辺りは手持ちのファンの性能と、実際に試してみた結果次第だろう。今回はミストがダメだったので評価はできなかった。
課題
なんにしてもミストである。ポンプからの水圧に耐えてある程度細かいミストが出るものがあれば理想的だろう。細かさだけを考えるなら超音波式だと思う。複数のアトマイザーがついた製品もあるにはあるが、コストや電源、耐久性のことを考えると踏み切れない。
もうひとつはポンプの調整モジュールだ。今回の試運転で30分ほど使用したのだが、ヒートシンクが触れないほど熱くなっていた。すぐ近くにはコンデンサがある。電解コンデンサの寿命は温度によっても左右されるので、完全に設計ミスだと思われる。また、Amazonでのレビューにもあるように、このコンデンサが再生品だとすると寿命はもっと短いだろう。
ということで、今後はこの2点をどうにかしていくことになる。特にミストをどうにかしないとミスト式の評価自体もできないのですぐにでも行いたい。
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